行く道

婚約中のこと。いずれ(姑になる)母に私は手首が痛くて缶詰は開けられないし、雑巾が絞れないのよと言われた時は、正直言って少し引きました。結婚後はお菓子の袋もチョコレートの箱もすべて鋏で開けているので驚きました。あら、お義母さん、開けるところついているのに、と私は言ったものです。また、舅は大きな虫眼鏡をいつも傍に置いていました。あれから幾年月。当時の義母の姿は今の私、当時の舅は今の夫の姿と重なっています。やさしかった二人は、義父が8月、義母はその年の12月に亡くなりました。二人が亡くなったのは60代。その年齢に近づいた今は、折につけ、ふたりの所作を懐かしく思い出します。

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